◎農業はチャンス?
農家の方と話をしていますと、日本の農業経営は、非常に厳しいことがわかります。
政府が補助金を出して日本の農業を支えようとしていますが、現実は厳しいようです。
でも、先日、お会いした経営者さんは、全く違うことをおっしゃっていました。
「農業にとっては今がチャンスですよ」と、本気で農業ビジネスは儲かると強調されました。
◎公務員、建設会社から転身
この方は農業を営んでおられますが、農家ではありません。平成17年に法人化され、農業法人の社長さんです。
経歴をお聞きすると、元は公務員、その後、建設会社に勤務され、10年前に農業を始められました。
「ホンマのこと言うと、公務員辞めて建設会社をやろうと思っていたのです。でも、この不況でしょう。建設事業はあきらめたのです」と。
◎親子3人のタイムカード
そして、ご両親が奈良で農業をされておられたので、それを手伝うことになったそうです。
「最初にやったのがタイムカードの導入でしたね」と言われます。
「え!農業にタイムカードですか?」と、聞きなおしました。「そう3人ですが、農業をやるときみんなでタイムカードを押して、勤務時間を計算しました」と。
これだけ働いて得た収入が、3人で年間数百万だったそうです。
「これはアカンなと思いました。そこで付加価値の高い有機栽培に絞ることにしました」と、おっしゃいます。
◎有機野菜は売れる!
もともと家で食べる分は無農薬でやっておられたので、これを全体に広げられました。
ちょっと待って!ほなら一般向けは農薬いっぱい?うーんこの話で、質問いっぱいしたかったのですが、時間がなく流してしまいました。
「最初は周辺のスーパーさんへ有機野菜として自ら売りに回りました」と言われます。ホームページを開設。
消費者の有機への関心も高く、結構売れたそうです。
さらに、JASの有機栽培認可も取得され、今では東京の高級スーパーにも供給されています。
◎学校も設立
「有機野菜は品不足です。営業はほとんどしていませんが、注文はたくさんあります」と不況どこ吹く風です。
「問題はいかに安定して供給できるかです」と、近隣の農地を借り上げて有機栽培農地を拡大されています。
また、「人でも足りません」と、有機栽培の学校を設立、農業就労者の指導にも当たっておられます。農業を手伝った頃に比べ、農地は7倍以上に増えたそうです。
年商も1億円を超えておられます。
◎産業界の経営手法を農業に
タイムカードの導入がきっかけで、農業の経営をイノベーションされたのです。
産業界で培った経営管理手法を農業にどんどん適用すれば、日本の農業も捨てたものではありません。
「これからは有機野菜の輸出もいけると思います」と。農業ビジネスに産業界のノウハウを本気に導入すべきです。
日本が得意の“モノづくり”が“野菜づくり”に活かされると、農業ビジネスは本当にチャンスや!と思いました。
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