『給料の現金手渡し、一周遅れの最先端』(Free)

2017年8月19日

◎ほとんど銀行振り込み

世の中、どんどん便利になると、逆に不便を感じたり、マイナスになってしまうこともあります。
サラリーマンの給与だって、以前は現金でもらっていました。社長や部長さんから手渡しで現金入り給与袋をもらうと、ありがたく感じていました。が、今はほとんど銀行振り込み。

◎有難味が薄れる

お金をいただいているというありがたみが、薄れてしまっています。従業員だけでなく、その家族も給料日にお金が振り込まれるのが当たり前と思っています。手渡しでいただくありがたみがないのです。
自動的に給与が振り込まれるので、休んでいても、出張で会社に居なくても、とても便利です。でも、振り込まれるのが当たり前で、ありがたみがなくなっているのです。

◎コミュニケーションの一環

そんな中、今でも給与を銀行振り込みにせずに、現金で手渡している中小企業さんはあります。会社の経理の人は大変です。給料日は従業員の給与を数えて袋に入れなければなりません。
それでも、現金での手渡しにこだわっておられるのです。ある会社では、従業員とのコミュニケーションの一環で、給料を現金で手渡しておられました。

◎仕事は楽しい？

普段、社長さんが、従業員のそばに行って直接話し会うことは、あまりありません。それでも、時々従業員に出会うと「会社の仕事は楽しい？」と聞かれます。
これもなかなか立派です。普通なら「どや、頑張って仕事しているか」と聞かれますよ。でも、楽しいか？と聞かれるのです。それだけでも、社長さんの従業員さんに対する熱い思いが伝わって来ます。

◎社長の気持ち伝える

従業員さんとコミュニケーションを深める一番は、給料袋を手渡してすること、と言われます。給料袋を手渡しながら、それぞれの従業員に合った声かけをされます。
給料袋を受け取る従業員に、時にはパフォーマンスもされます。「手渡した給料袋をすぐ手を離しません。従業員もびっくりして、引っ張って取ろうとしますな。それだけで、社長の気持ちが伝わります」と。

◎弁当付の給料袋

いやいや、確かに社長と給料袋を引っ張り合いすることは、新しいコミュニケーションかも知れません。
以前、このコラムで紹介したかも知れませんが、現金での給料だけでなく、弁当を付けて一緒に手渡している会社もありました。これも、凄いと思います。

◎ワクワクしながら待っている

弁当を付けることで、従業員本人だけでなく、奥さん、子供さんも喜びます。「お父さんは給料日に、弁当も一緒に持って帰ってくれる」と、ワクワクしながら待っています。
従業員の家族ともコミュニケーションが取れているのです。これ、銀行口座への振り込みだけでは、会社との関係が深まらないと思います。

◎現金払い復活へ

便利に目を奪われていると、本当の大事なものを見失ってしまいます。便利、効率を求める時代ですが、実は不便や非効率の中にこそ、大切なものがあるように思えます。
給料の銀行振り込みを禁止するだけでも、経営者と従業員の関係が良くなるように思えます。ＡＩ、フィンテックの時代、１周遅れの最先端で給与の現金払いの復活も面白いかも知れません。