御上（国）の世話にはなりまへん!!　（7月号）

（印刷業　井上　務）

2010年6月10日

大阪城を中核とした太閤様の町づくりには感嘆する。淀川水域を巧みに利用した物流システム、大がかりな石組下水道は「太閤下水」と呼ばれ、現在でも機能している。

江戸幕府になっても町民の意識は高く、「御上（幕府）の世話にはなりまへん」と道頓堀、淀屋橋など、八百八橋のほとんどは商人や町人が私財を投じて造り、橋の周辺の人達が修理-管理を行ない「町人の絆」による民営力で栄え続けた。現在、堀はアスファルトで埋め尽くされ、ビルのヒートアイランド現象で暑苦しく、太閤様もさぞお嘆きだろう。

「なにわのことは夢のまた夢」と辞世の句を水の泡にしてはいけない。
太閤様の逸話の一つで母親が自分のお腹に太陽が入る夢を見て生まれたので「日吉丸」と名付けられたらしく徹底的なプラス思考であったようだ。努力と創意工夫をおしまず他人の協力-援助を引き寄せ天下人となった。

今、ワールドカップが開かれテレビから流れるプープーという旋律はアフリカ大陸時代到来の宣言のように聞こえた。かつてこの地で人生の基盤となる経験をしたのはインドの国父ガンジーである。汽車に乗っていた時、有色人種がいると客が騒ぎ
車外に突き落とされた。暗い待合室でインドに帰るべきか悩み考え、踏みとどまり苦しみに耐えると決意する。

二人の英雄は、試練を運命と受け止めて決して逃げなかった、坊ちゃん首相達よ学ぶべし。ゴールの決め手はプラス思考と忍耐力だ。いかなる嵐がこようとも「御上（国）の世話にはなりまへん!!」