◎実家の仕事が影響
どんな仕事をしたいか。いろいろありそうですが、その一つに実家の仕事があります。生まれ育った家の環境が影響するのでしょう。とくに、2代目、3代目さんは生まれた時から、そこで育つわけですから、自然と同じ道を歩みます。
後を継ぐだけでなく、新規事業を起こす場合でも親の影響は大きいです。京都で九条ネギのベンチャーを始めた社長さんは、父親の畑仕事と収入を見て、「なんとかせなアカン」と、九条ネギの栽培を始められました。
◎挑戦好きの社長さん
漁師の娘さんは、父親の仕事を見て海に関心を持ち、海苔の養殖を始められました。精肉店の息子さんが、焼肉屋をやられるケースも少なくありません。
まあ、こんな風に親の影響を受けて新しいことを始めるわけです。子供のころの記憶や体験が影響しているのでしょう。先日取材しましたモノづくり企業さんは、新しいことに挑戦することが大好きな方でした。
◎前向きな仕事が評価
大手の下請けモノづくり企業に勤めておられましたがそちらの会社は大手から言われた通りの仕事しかされません。なんでもっと挑戦しないのか?それが不満で会社を辞められたそうです。
新しいことに挑戦したいという思いから、自分で会社を起こされました。そういう前向きな仕事ぶりが高く評価され、たくさんのお客様を確保し、堅実な経営を進めておられます。
◎養殖事業にびっくり
その社長さんにインタビューしていたところ、取材の後半になって、突然、「養殖事業を考えています」とおっしゃいました。ガチガチのモノづくり企業さんです。それが、養殖事業とはびっくりです。
思わず、「エ!養殖事業ですか?」と問い直しました。流体技術などプラントエンジニアリングで培ったモノづくりノウハウを活かして取り組むのだそうです。
◎実家は漁師さん
助成金を活用して、養殖に必要な一連の設備はすでに製作、地元の漁業組合の協力を得て年内にも設置する予定だそうです。その背景には、実家の仕事がありました。
こちらの実家も漁師だったそうです。子供も頃の海の記憶がよみがえり、モノづくりノウハウを活かして、養殖事業を選ばれたのです。プラントの仕事をされているので、装置をつくるのはお手の物です。
◎来年から設備を設置へ
メインの養殖プラントは幅2m×長さ5m×高さ1・8m。このほか、プランクトン容器、地中に埋める熱交換器、集熱器など設備を整えておられます。
平成31年から陸上にこの養殖プラント設備を設置、とり貝、あさり、ハマグリなどの2枚貝の養殖に乗り出す予定だそうです。「夏は地下熱、冬は太陽熱など自然のエネルギーを利用したい」と社長はおっしゃいます。
◎養殖技術を独学で勉強
養殖技術を独学で勉強、モノづくりのハードとソフトを活用した独自のシステムで、1年間かけて実証試験する予定だそうです。実家の仕事が新規事業に結びついたのです。
「将来、日本の食の確保に中小企業のモノづくりの技を活かしたい」とおっしゃっていました。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞