◎能動的な環境対応
企業の環境への意識が高まっています。昔は、水質、大気などの公害基準に対応するため、受け身の形での対応に追われていました。でも、今は環境対応と言っても、以前とは大きく変わっています。
受動的ではなく能動的です。国や自治体から言われて環境対策するのではなく、自ら環境対策に取り組む姿勢が目立ちます。日本の企業も、それだけ環境への取り組みが進化したということ。
◎産学連携の商品
先日、取材した建設資材の中小企業さんでは、環境を新たなビジネスしようとされていました。取材のきっかけは、大阪府さんでした。
知り合いの府の部長さんから、繊維廃材を活用して、おもしろい新商品を開発しようとしている会社があるよと言われたからです。この新商品には大学先生の発想も含まれており、産学連携の商品でもありました。
◎繊維クズでリサイクル品
ですから、取材の当日は当事者の中小企業の経営者、大学の先生、大阪府の担当者と大人数での取材となりました。みなさんそれぞれの立場で説明していただきました。ちょっと時間がかかってしまいましたが…。
大阪南部のこの地区には、カーペット、毛布、綿製品など繊維関連の会社がたくさんあります。その製造工程の中からたくさんの繊維クズが発生。この繊維クズでリサイクル品を作ろうとされていました。
◎変わったリサイクル品
ただ、繊維リサイクル品はこれまでからたくさんあります。そこに何か新しいアイデアがあるか?そこがポイントです。ありました!今までとは大きく異なる点が。
これまでのリサイクルでは、繊維の素材を分別して、同じ素材でリサイクル品を作っていました。同じ素材だから、確かにリサイクルしやすいです。
◎大学先生のアイデア
しかし、リサイクル品の見た目の色などは、あまりオシャレではありませんでした。一般消費者向けとなると、機能性だけでなくデザイン性やオシャレな感覚が大事です。
そこで今回始められたのが、女性の大学先生によるアイデア。素材で分別するのではなく、色で分別してリサイクル品をつくる試みでした。天然繊維、合成繊維など素材関係なく色で分けられます。
◎UPリサイクルの考え方
その繊維を粉末状にして樹脂と混ぜてペレット化し、押し出し成型で雑貨品をつくるのです。それぞれ近い領域の色でまとめているので、出来上がった商品の色も雰囲気があります。
「故繊維の色を合わせて混合し、同色に近いカラーで商品を作ると好感度を得られます」と先生はおっしゃいます。色を重視することで、リサイクル品でも魅力的な商品になる「UPリサイクル」の考え方を打ち出しておられます。
◎ネットワークを設立
この考えをもとに、大学の先生、メーカー、公的機関技術者8人で「カラーリサイクルネットワーク」を設立されました。すでに、マグネットカバー、物差し、ボタンを試作し、一部は販売もされています。
大阪府の認定リサイクル製品に選ばれました。大手アパレルメーカーでは、この手法を導入して自社の廃棄繊維を活用したバッグなどを本格販売されました。
◎カラー分別で魅力
素材分別からカラー分別の新発想により、魅力的なリサイクル商品が産業界からも注目を集めています。環境を能動的に捉えた産学連携の新商品が、全国に広がろうとしていました。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞