◎創業100年以上の刷毛専門店
取材では、いろいろなお店にも行きます。カフェ、美容室、居酒屋さんなどです。だから、それぞれのお店の問題点とか、特色がだいたい分かっているので、質問のポイントを整理して、お店の方とお話ができます。
ところが、先日、お邪魔したお店は、今まで取材したことのない初めてのお店でした。創業100年以上の老舗のお店です。何を扱っておられるのか?刷毛、ブラシでした。
◎1000点以上の商品
お店を訪問すると、入り口付近には、塗装屋さんが使われるような材料、習字筆などもありました。さらに、中に入って行くと、本業の刷毛がたくさん置かれていました。
「ブラシも置いていますが、基本は刷毛ですね。大阪市内でもこれだけ刷毛を揃えているお店はなかなかありませんよ」とおっしゃいます。刷毛だけでも1000点以上の商品を置かれていました。
◎多彩な素材を扱う
豚毛、羊の毛、ナイロン、PETと毛の素材もまちまちです。用途に合わせて油性、水溶性の刷毛をそろえておられます。
値段も安いものなら100円代からあります。職人さんが手づくりされた高額な刷毛は、ガラスのショーケースの中に入っていました。
◎5万円の高級刷毛
国産の最高級刷毛になると、5万円弱の高額なものまでありました。「知り合いの刷毛職人から直接仕入れています。良いものは一生モノで長く使えます」と自信たっぷりに話されます。
店内には、中国製の刷毛もありますが、「私が吟味して使えるものだけを選んでおります」と、さすが刷毛の専門店です。自社ブランドが「ハケ市」でして、刷毛の商品には、この焼印が押されていました。
◎職人さんが活用
さらに、「王朝」「最上」など高級刷毛には、商品名もしっかり付けておられました。刷毛は表具、襖、障子屋さんで使われます。こうした職人さんが買いに来られます。
一般消費者がホームセンター買う刷毛とは、一線を画しておられました。職人さん相手の刷毛の販売ですから、刷毛の知識も豊富です。
◎WEB販売もスタート
「刷毛ことなら何でも聞いてください」と、店主は刷毛には自信を持っておられます。もちろん、刷毛だけではなかなかお店を維持できないので、ペンキ屋さんが使うローラー、テープなどの養生品もそろえておられました。
さらに、平成10年から刷毛やブラシ類のWEB販売もスタート。5代目さんが担当し、今では全国からコンスタントに注文が来るそうです。
◎残存者利益を取り込む
ボクは少し水墨画をやっていますので、取材のついでに刷毛を買わしてもらいました。水墨画用の刷毛ではないので、逆におもしろい雰囲気が出るのか?楽しみです。
日本の伝統的な商品。需要は確かに減っていますが、供給も減っています。でも、一部の職人さん、愛好家にとって刷毛は根強い需要はあります。
数は減っていますが、限られた需要があります。生き残ることで、その需要を取り込むことが出来るのです。諦めずに長く続け流ることで、“残存者利益”を得ることが出来ます。続けることが大事だと思いました。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞