◎40代以降が頑張る
ベンチャー、スタートアップというと、10代、20代の若者のイメージが強いです。IT、AI、SNSなどの新しいビジネスでの起業が目立っています。でも、でも、40代以降でも頑張っておられます。
ビジネスもニュービジネスではありません。オールドビジネスで、発想、知恵を活かして、成長されている会社も多くあります。日本は、どちらかというと、こっちの会社が多いように思えます。
◎福井から大阪へ
先日、取材させていただいた会社は、45歳で脱サラし自分で会社を起こされました。福井県のご出身です。「大学を出て地元で就職することは、何かおもしろくありませんでしたね。そこで大阪へ行こうと思ったんです」と。
確かに、昔は福井の出身者で大阪へ出てこられ、お風呂屋さん、お豆腐屋さんをされる方がたくさんいました。お風呂もお豆腐屋さんも、実はお仕事の中でも厳しい業種です。
◎福井の人は忍耐力がある
大阪の人は長続きしません。でも福井県の方は忍耐力があり、頑張って仕事をされ、成功されるのです。多分、こちらの社長さんも忍耐力があると思います。
何がしたいというより、大阪へ出てひと旗あげたいと思われたのでしょう。友達を頼って大阪へ出て来られ、新婚家庭に居候されて職を探されました。
◎求人募集のチラシ
職を探すため街を歩いていたら、求人募集のチラシに出会われました。金型会社の求人で、当時は金型は華のモノづくりでもあり、「これや!」と思って面接に行かれました。
そして、社長さんの面接で将来は金型の会社を起こして独立したいと、本音の意見を言われました。
すると、「最初から独立目的の人を雇えるか!」と社長さんには怒られたそうです。
◎初志貫徹、45歳で独立
でも、真面目な人柄、やる気の姿勢が社長に気に入られて、こちらの金型会社に就職されました。真面目に働かれ、社長の片腕、専務として活躍。将来は社長を譲られる環境にあったそうです。
「でも、自分で会社をつくりたいという夢があり、社長には申し訳なかったのですが、辞めさせてもらいました」と、45歳で独立されました。最初は自宅の娘さんの部屋だったところで、プラスチック製品の金型企画、設計から始めました。
◎一貫生産体制の強みを発揮
そして、プラスチック射出成型機を1台購入され、成型加工まで始められます。大阪府の新テイクオフ21の第1号に認定、大手事務用品、製薬会社のプラスチック部品や容器を手掛け、一貫生産体制の強みを発揮して急成長されます。
2013年には現在の八尾市に本社工場を移転。2014年にはベトナムに金型工場を建設、グローバル戦略を進められました。日本での人手不足、たまたま訪れたベトナムでの人材を見て、海外工場をいち早く決断されました。
◎自社商品の開発へ
八尾市の「STADIプロジェクト」に参画。下請けの仕事に加えて、自社商品の開発に乗り出されました。著名なデザイナーと連携され、プラスチック製のオシャレな時計、ティッシュボックス商品化されます。
また、産学連携で大学との共同開発にも取り組みました。
◎フェイスガードを寄付
さらに、コロナ感染対策として、2月末から自社デザインのシンプルなフェイスガードを発売されます。「補助金、助成金を活用させていただいたこともあり、地元の市町村に寄付させてもらいました」と。
このほか、医療補助具の開発も進めておられます。現在、全売上高に占める自社商品の比率は1割弱ですが、「将来は3割まで高めたい」と、自社商品を強化したい考えです。
◎大学の頭と町工場の技
ベンチャーやスタートアップのような派手さはありませんが、技術力を生かした地道な成長をされています。大学の頭と町工場の技。日本のモノづくりの生きる道は、ここにあるのではないでしょうか?中小企業と大学の“蜜”が求められているようです。
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