◎キャセル続出の飲食店
コロナ禍で大きなダメージを受けているは、飲食店、観光業界ではないでしょうか?中でも飲食店はどこもみんな厳しい状況に追い込まれています。
取材でも皆さん、キャンセルの続出に頭を悩ませておられます。
コロナの終息がなかなか見えない中、飲食店さんにとっては厳しい状況がしばらく続きそうです。先日、滋賀県にある料亭を取材して来ました。
◎東京や京都に出店
70年の歴史を誇る地元の老舗料亭です。今では滋賀だけでなく、京都、東京にも進出。東京のお店は、政財界人、芸能人が来られる人気店になっています。
去年も京都に新店舗を出店されました。近江牛の肉割烹のお店で、「人気のお店になり出し、いよいよこれからと思っていた矢先にこんなことになりました」とオーナーは嘆かれます。
◎全店舗での予約のキャンセル
出店に当たっての設備投資などを考えると、本当に大変です。でも、現実はこちらのお店だけではありません。8店舗の全店舗での予約のキャンセルが相次ぎ、厳しい状況になっています。
取材にお邪魔した日が定休日でもあり、オーナーに招かれて厨房にも入らせてもらいました。そして、壁に貼ってあるたくさんのメモを見せてもらいました。
◎お客様を喜ばせる工夫
実は、これ全てお客様からのキャンセル伝票でした。「予約のほとんどがキャセルですよ。本当にえらいことになっています。でも、負けませんよ」と、あまり泣き言はおっしゃいません。
その代りというか、この何年間老舗料亭が取り組んできた前向きな戦略を話してくれました。それは、デジタルや機械化を駆使する一方で、本店女将を中心にしたお客様を喜ばせる工夫でした。
◎リモートでリアルにやり取り
こちらでは、コロナ禍前からいち早くデジタルに取り組んでおられました。スマートフォンなどを活用、各店舗の厨房とリモートでリアルにやり取りされていました。
本店の総料理長やオーナーは、毎日全店舗で提供するお客様への献立内容、器、盛り付けなどをチェックされます。気になるところがあれば、ダメ出しされてやり直されます。
◎行かずにリモートチェック
また、お客様の座る位置、屏風の置く場所なども、それぞれの部屋をリアルに見ながら、事細かく画像で確認されます。
「それぞれお店を回らなくてもリモートでチェックできます。デジタル化で店舗管理の効率が一気に良くなりました」と話されます。さらに、AI、ロボット化にも力を入れておられました。
◎アナログのおもてなし
まるで、産業界の第4次産業革命を老舗料亭が先頭を切って走っている感じです。厨房にはご飯が自動で炊ける炊飯ロボット、AI活用のスチームコンベクションの導入など厨房の革命が進んでいました。
その一方、女将さんを中心にお客様のニーズに合わせて素早く料理やドリンクを提供するアナログの「おもてなし」にも力が入ります。ゴルフ帰りのお客様には、即座に泡の出る麦茶(ビール)を出されます。
◎快適環境を徹底追求
突き出し、お刺身、おしのぎの3品をお重に入れて提供。お客様は待たずに食べられるし、お店側にすれば配膳の効率化が図れます。お刺身苦手なお客様にはローストビーフで対応と、日々知恵を絞られます。
水打ち、暖簾の出し方まで気配りし、快適環境を徹底追求されます。スタッフも厨房、ホールの仕事と時間帯で1人2役、3役をこなされます。アルバイトの出勤も時差出勤にして、人員活用の最適化を図ります。
◎週休2日制を実現
人材を効率的に活用することで、週休2日制を実現されていました。効率経営で、リーズナブルな値段で質の高いコース料理を提供。「コロナが終息に向かえば、お客様が必ず戻って来ていただけます」と、終息後に期待されていました。
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