◎タテ割りの編集一筋
日本はタテ割り社会と言われます。タテ割り重視しで、ヨコ櫛はなかなかさせません。ビジネスでも同様な傾向が強くあります。ボクが在籍していた新聞社もそうでした。
ずっと編集部門におり、広告、販売、事業などの部署に異動することは一度もありませんでした。だから、よその部ではどんな仕事をされているか、ほとんど知りません。また知ろうともほとんど思いませんでした。
◎新聞経営時代遅れに
まさにタテ割りの会社でした。そんな状況で社長になると、編集以外の営業のことはほとんど分からないので、適切な経営が出来ないのです。
だから、このデジタル社会の中で新聞社の経営は時代遅れとなり、厳しい状況に追い込まれています。製造、販売、流通、間接部門の全てを熟知していないと、変化の激しい時代は乗り越えることは難しいです。
◎ヨコ櫛しっかりの元気企業
そんなことを思っていたら、タテ割りではないヨコ櫛をしっかりと刺した元気な会社を見つけました。創業68年目を迎える建設関連会社でした。
建設現場で使われる便利で安心、安全な商品を次々と開発しておられます。素材は主にゴムとプラスチックです。建設現場の「こんなんあったら便利」商品を次々と開発されます。
◎営業スタッフが開発
開発部門のスタッフが頑張っておられる会社かなと思っていたら、実はそうではありませんでした。頑張っていたのは、営業スタッフでした。従業員は約70人でその8割は営業スタッフで占められています。
こちらの会社、商品開発は 開発部門ではないのです。営業スタッフの力によるものでした。「営業スタッフの仕事は、販売だけではありません。新商品の開発も重要な仕事として位置付けています」と社長さん。
◎年間800件超えるアイデア
毎月本社と営業所では営業会議が開催されますが、その際、営業スタッフは営業数字だけでなく新商品のアイデアも提出しなければなりません。「アイデアがないときは白紙でも良いと言っていますが、必ず何か書いて提出してくれます」と、喜ばれます。
営業のほか、事務職も加わりほぼ全員で新商品開発に取り組むのです。毎月、70件近いアイデアが寄せられます。年間で800件を超える件数です。
◎商品化は1%の確率
そのアイデアを精査し、商品化になりそうなものと、そうでないものをふるいにかけられます。最終的に市場に出るのは年間で5-10件程度。1%の確率です。
これが大事です。山のようなアイデアから、実際に商品になるのはほんの一握りです。国内中小企業40-50社、海外15カ所の協力工場に委託生産され、ヒット商品が生まれるのです。
◎世の中ジェンダーフリーへ
エコ点字パネル、重機安全ポール、重機走行用の樹脂敷物など、収益力のあるオンリーワン商品が会社を支えています。最近は建設向けだけでなく、工場でも使ってもらおうと、自社商品を水平展開され、市場を広げておられました。
オリンピック組織委員会の森・前会長が物議を醸したように世の中、ジェンダーフリーの方向にあります。性別の差別をなくす、多様化の概念です。
ビジネス、会社の社会でもタテ割りから組織、部門差別を無くす、ビジネスフリーを目指すべきだと思います。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞