◎亜鉛、コンパネが足らない
東北大震災の影響はどんどん広がっています。大阪の中小企業さんを取材していても、資材の調達がだんだん厳しくなってきたと、先行きに不安を持っておられます。
メッキに使う亜鉛や建設現場でよく見かけるコンパネも不足しています。コンパネは、コンクリートパネルと言われ、コンクリート打設の型枠に用いられる合板です。これがないと、建設工事に大きな支障をきたします。
◎在庫減らし、グローバル化の危うさ
とくに、中小企業さんでも、トヨタの経営を見習って、できるだけ在庫持たないようになっています。ジャストインタイムの発想です。ということで、在庫も1ヵ月以上持たないところが増え、そのマイナスが今回、露出しました。
また、海外生産や海外調達などのグローバル化の問題も出てきました。震災発生直後から、防災グッズや避難グッズなどに注文が殺到しました。
◎光る懐中電灯の国内生産
ボクが親しくさせてもらっている会社では懐中電灯を製造販売されていましたが、14日の1日で5ヵ月分の在庫が無くなってしまったそうです。その後も注文が増え続けて、3日間でのファックス注文伝票の厚みが15センチにもなったそうです。
実は日本企業で懐中電灯を国産化しているところは2割程度で、大半がアジアなど海外で生産されています。たまたま、こちらの会社さんは国内で生産されていたため、現在、フル操業で受注残の50-60万個に対応されています。
◎集中、集約の問題点
一方、海外で生産されているところは、すぐに調達できないのです。どうしても、輸送時間を含めると2ヵ月以上はかかってしまいます。海外生産せずに国内でつくっていたことが、奏功したのです。ということで、グローバル化が全て良いわけではなかったのです。
経営合理化としての集約、集中もそうです。これまで東京一極集中が進み、大阪から大手企業がたくさん東京へ行ってしまいました。でも、今回の震災を機にもう一度大阪の役割を見直そうという動きが出ています。
大手食品メーカーや製薬会社も、工場の集約化で生産効率を上げる経営戦略を進めてきました。東北地区に大きな工場を新設、大阪市内にあった古い工場を壊して高層マンションや商業施設に生まれ変わろうとしています。
◎効率経営だけでは生き残れない
今回の震災で、こうした動きも見直されそうです。1つにまとめる効率化と、そのリスクをしっかり考えるべきです。戦後、日本の企業が求め続けてきたムダを省くコストダウン、効率化の経営戦略。東北大地震でそれだけでは、企業は生き残れないことが分かりました。
ムダを省くだけでなく、今こそ、ムダの効用、ハンドルの遊びの必要性をじっくりと考えてみたいと思います。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞