竹原編集長の明るいコラム

円高でも輸出に初挑戦、元気企業

2011年12月 3日

◎工具メーカーが初の輸出へ

円高で日本企業の海外市場での競争力がどんどん削がれ、輸出が難しくなっています。輸出の減少は、中小企業の経営にも、大きな影響を与えており、東大阪の中小企業でも円高による被害は甚大です。
円高で輸出を諦めて、国内市場にシフトする中小企業が少なくありません。そんななか、先日、おじゃました工具メーカーでは、円高の逆風のなかで、輸出を始めることになりました。

◎ネジザウルスが自信に

「中小企業は、円高で輸出をやめているのに、今から米国市場に進出とは、すごい戦略ですね」と、社長さんに確認しました。「確かに輸出条件はどんどん厳しくなっていますが、まだまだやれると思っています」と自信を覗かせます。
その自信の背景にあるのが、国内市場で販売実績をあげるある特殊な工具商品です。名前は「ネジザウルス」です。恐竜のような名前ですが、まさに恐竜のような力を発揮する工具です。

◎ネジを外す専門の道具

ネジ頭のつぶれたネジを、強靭なあごでつかんでネジを外してくれる道具です。あのタレントの所ジョージさんもこの工具のファンだそうです。
今では年間10万個の販売実績を上げ、工具業界でのヒット商品となっています。今まで、ネジを締める工具はたくさんありましたが、外す専門の工具はほとんどありませんでした。

◎ヒットのヒミツはMPDP

また、ネーミングもユニークで話題になっているのです。不況で工具の販売も落ち込む中、このネジザウルスが快進撃を続けています。その快進撃を国内だけでなく、海外にも広げようとされているのです。
「ヒットしたのは、ボクがモノづくりの成功の方程式として考えたMPDPがあったからです。このMPDPの威力を米国市場で試してみようと思いました」と。MPDPとは、マーケティング、パテント、デザイン、プロモーションの略です。

◎クールで遊び心

「商品は機能だけでなく、クールで遊び心も大事です。関西の経営者が最も得意とするところです」と。デザインも恐竜のイメージ、テーマソングも社員から歌のうまい人を選抜してつくられました。
国内で累計40万個の販売実績に自信を深めて、この逆風の輸出環境の中で、初めて本格輸出に乗り出されたのです。ほかの中小企業とは全く逆の戦略です。

◎吸血鬼バンパイヤーに

このMPDPの理論に沿って、米国市場向けに若干の改良を加えました。商品名を吸血鬼バンパイヤーにちなんで「ヴァンプライターズ」とされました。「米国では恐竜ではなく、バンパイヤーの方が知られていますからね」と。カラーも赤色にされました。
現地の販売会社を通じて、ネット販売を中心に展開されます。円高だから輸出はだめでなく、その円高を跳ね飛ばす戦略があれば、やれるのです。

◎日本のモノづくりまだまだ元気

日本のモノづくりは、まだまだ元気です。ぜひとも米国市場でヒットを飛ばしてもらいたいと思いました。


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