◎歴史のある会社を取材
最近、創業100年を超える歴史のある会社を取材するケースが多いです。長く続いている会社には、何か独特の雰囲気があるように思えます。何が違う?と言われても、一言では表現できませんが、共通点らしきものがあります。
1つは、社長さんがあまりガツガツした感じがありません。ふあっとした感じの社長さんが多いようにも思います。しゃべり方も、早口ではなく、ゆっくりとお話になります。
◎雰囲気ゆったり、経営厳しい
滋賀県にある創業200年を超える和菓子の老舗では、7代目の社長さんにインタビューしました。歴史のある和菓子屋さんは、歴史そのものにブランド価値があるわけですから、まあ安定した経営をされていると思っていました。
社長さんのしゃべり方も落ち着いておられますし、そんなに悲壮感はなく、ゆっくりと話されます。ただ、そのしゃべり方とは逆に、経営の話は結構シビアなものでした。
◎近くに行列の出来るお店
「歴史だけでやっていける時代ではありませんね。僕が危機感をもったのは、うちの近くに全国でも超有名な滋賀県の和菓子屋さんが出店したからです」と。百貨店では行列ができることでも有名なお店です。
銀行勤めから実家のお菓子屋に戻って、改革に乗り出されました。商品の見直し、生産体制を再構築、人員配置も変更されました。
◎改革に取り組む
そして、今までの純粋な和菓子から、和の精神を持ち、洋と和を調和させた「和魂洋才」の心から新商品の開発に乗り出されました。レアチーズなどが入ったお菓子などがヒットを飛ばしているそうです。
近所に超有名な和菓子店の出店で、200年企業も眠りから覚めたようです。矢継ぎ早の経営改革で、今では順調に売上げを伸ばしておられます。
◎優位性が衰退の原因
伝統の革新。ついつい伝統に甘んじてしまいそうですが、そこには絶えず革新的なチャレンジ精神が必要です。「今では、超有名な和菓子店が近くに来てくれたお陰で、うちは甦ることができました」と、そのライバル店に感謝されていました。
歴史のある会社は、地元での信頼、資産、経営ノウハウなど、新興企業にはないたくさんの優位な経営資源を持っておられます。ただ、その歴史に頼ってしまうと、逆に衰退の原因にもなるのです。
◎マイナスをプラスに
ライバル店の出現は、お店にとっては売上げを持って行かれる憎いお店でもあります。でも、そのお陰でお店が立ち直れることにもなるのです。マイナスは必ずプラスになると思います。
苦境に陥ったときこそ、「もうアカン」ではなく、「どうすれば生き残れるか」前向きな発想が大事です。ライバル店の出現を歓迎する姿勢が、次の100年生き残る原動力になるのです。
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