◎モノづくり企業で女性社長の活躍
最近、モノづくり企業で女性社長の活躍が目立っています。町工場、鉄工所の社長はほぼ男性、“鉄工所のおやじさん”というイメージでした。が、今は女性の経営者さんでも、全く珍しくなくなってしまいました。
逆に、元気で頑張っているモノづくり企業にこそ、女性の存在があるようにも思えます。製造現場、商品開発、営業と中小企業でも女性が会社を支えているようにも見えます。
◎婦人バッグの商品化
先日、取材で訪れたのは板金加工の町工場でした。こちらの社長さんも女性でした。もともとは、ご主人が経営されていましたが、亡くなられてその後は奥様が社長に就任して引っ張って来られました。
板金加工の仕事をされながら、新しいビジネスを始められました。それは何と、板金加工とはほとんど何の関係ないと見られるファション商品。婦人バッグの商品化でした。
◎何か新しい仕事を
これはちょっとね。全く異分野ですし、鉄工所がそんな最先端のオシャレなバッグなんてつくれるのか?半信半疑で、その女性社長さんに取材攻勢をかけました。
「また、どうしてバッグなんですか。それもオシャレが問われる女性用の高級バッグですか?」と、質問して見ました。社長さんは、ニコニコしながらおっしゃいました。「リーマンショク以降は下請けの仕事が減ってきています。このままでは、先が思いやられるので何か新しい仕事をやろうと思いました」と。
◎スパッと行動に
女性社長さんは、やはり先を見ておられるのです。このままではアカンと。男性は長くやってきたことにこだわられますが、女性は案外思い切りが良いのです。じくじく考えずに、スパッと行動に移されます。
そこで、社内に向けて新事業の提案を募集されました。そうしたら営業マンから婦人用のバッグを作ってみたいという提案があり、社長さんはこの提案を受け入れられました。
◎金属のパンチングボード活用
その材料とは、金属のパンチングボードでした。金属加工の仕事の中で、パンチングボードの端材もたくさん出てきます。それを活用されています。もちろん、コストが掛からないということもありますが、穴が開いたステンレスなので、軽量化にも貢献しています。
このバッグを提案された営業マンがデザインをし、生地屋さんにも手伝ってもらってカタチにされました。工場の2階の一角に試作品が飾ってありましたが、なかなかの出来栄えです。
◎モデルは社員と家族
「デザインはプロに頼まれたのですか?」と尋ねてしまうほど、素人とは思えないオシャレなバッグでした。パンチングボードを折り曲げる工具も社内でつくられました。鈑金加工の職人さんの技が活かされていました。
商品カタログもつくっておられますが、モデルは女性社員であったり、社員の娘さんや子供たちも友情出演されていました。女性社長の呼びかけで始められた町工場の婦人用のバッグ。職人さんも前向きで、社員が一丸でを作っておられました。
◎無責任はアドバイス
ブランドイメージも考えておられますが、オシャレなカタカナのロゴマークでした。でも、ボクは「オシャレなイメージではなく逆に“鉄工所”の方がカッコええんんじゃないですか」と、無責任なアドバイスをしてしまいました。鉄工所のロゴはインパクトあると思いますがね。
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