◎新技術もつ中小企業
大手企業を相手に、最先端の新技術をもっている中小企業さんもたくさんあります。大手では出来ない技術を開発、事業化のために頑張っている研究開発会社。こんな会社を見ると、ついつい応援してしまいたくなります。
以前、取材に訪れた会社さんは、画期的な新技術を確立しておられました。応接室には、科学技術庁長官賞などたくさんの表彰状が飾っておありました。
◎表彰状では飯食えない
「すごい技術ですね。これなら結構ビジネスになりそうですね」と質問。でも、取材させていただいた社長さんの表情は、今ひとつさえませんでした。
「どうして?」と思っていると、口を開かれました。「表彰状をいくらたくさんもらっても、飯は食えませんからね」と。そうなんです。いくら画期的な技術を開発しても、買ってくれないと、使ってくれないとビジネスとして成功とは言えないのです。
◎実績ない技術、日米が逆の判断
とくに、中小企業が開発した技術となると、大手企業はその信頼性に疑問を持ち、万一うまく行かなかったどうしてくれる?と躊躇されるのです。賞状で国が認めてくれた技術でも、なかなか導入されません。
日本の大手企業はまず、実績です。トヨタが購入した、日産も入れた、それならうちも…という状況です。米国は逆で、よそが買った技術ならうちは要らないと逆に断られてしまうのにね。
◎振動を吸収する金属
ちょっと、長くなってしまいましたが、先日訪れた堺の研究開発型企業。振動吸収や吸音・遮音、電磁波吸収など多彩な吸収機能を持つ多孔質金属板を事業化されていました。
これまでは、ゴムやバネで振動を吸収するものと思っていたので、びっくりです。「ゴムやバネは緩衝材ですが、うちの商品は吸収材。世界のどこにもない振動を吸収する金属」とアピールされます。
◎音や電磁波、熱も吸収
振動の吸収だけではありません。音や電磁波、熱なども吸収してくれる金属です。すでに、マシニングセンターなどの産業機械の振動吸収、音楽ホールの吸音・遮音、新幹線の防振、発電装置の防振、電磁シールド材、熱吸収など広い分野で利用されています。
画期的な技術ですが、まだまだそんなに浸透していません。趣味の音響スピーカーにも使用されていました。「まあ、聴いて下さい」と言われて聞かせてもらいました。音響にはあまり関心のないボクですが、すごく良い音がします。
◎付加価値のあるビジネス
この技術の素晴らしさを熱く語ってくれます。でも、「研究開発の費用がバカにはなりません。コンスタントに売れないと厳しいです」と。まさに、研究開発型ベンチャー企業の共通の悩みです。
日本の大手企業は、自社技術にこだわらずにベンチャーで良いものがあれば、どんどんコラボして使うことが大事だと思います。そこに、よそとの差別化があり、付加価値のあるビジネスが出来るのです。
◎対等でコラボ
「よそにない技術なら、うちで全面採用して新製品のベースにしよう」。大手と中小企業のコラボの時代がやってきたと思います。
従来のような下請けとしてのコラボではなく、対等の目線でコラボすべきです。日本の大手企業はもっと中小企業の技術に注目して良いと思います。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞