◎都会の若者が地方へ
コロナの影響でビジネスにも変化が出ています。これまでは若者は、華やかな都会に出て、働くのが夢でもありました。地方では若者が地元に残らず過疎化が進んできました。
ところが、最近は逆の動きが出ています。都会の若者が自然豊かな地方に憧れ、都会を脱出して地方へ出て行くケースが増えています。
◎東京、大阪より淡路島
人材派遣大手のパソナグループは、9月から本社機能を東京から淡路島に移す方針を打ち出し、話題を集めていますが、同じ流れではないでしょうか。実際、パソナの南部代表は早くから淡路島の魅力を感じておられました。
同じく大阪市内に工場があった撹拌機の大手プライミクスも、もう10年近く前に淡路島に本社を移されました。海が見え、美味しいものがたくさんある、そんな素晴らしい環境で楽しく仕事をする価値をいち早く見つけておられました。
◎都市部より田舎の良さ
今回のコロナ禍で一気にその流れをつくってしまいました。都市部より田舎の良さが目立っています。
先日は、そんな地方でもある泉州地区へ取材に参りました。水なすでは、全国ブランドになっていますが、今回取材したのは泉州たまねぎでした。
◎たまねぎをブランド化
たまねぎといえば、淡路島のイメージが強いかも知れません。しかし、泉州はたまねぎ発祥の地とも言われ、地元では多くの農家でたまねぎを栽培しています。
そんなたまねぎ生産農家の中で、先頭に立ってたまねぎをブランド化しようとしている会社がありました。メディアなどを通じて全国に泉州たまねぎをアピールされています。
◎4年前から株式会社に
4年前には株式会社にして経営体制を強化、20歳、30歳代を中心に若手スタッフで運営されておられます。皆さんは農家の出身ではなく、サラリーマンを脱サラされたりして農業に関わっておられるそうです。
社長さんは10代目の農家出身者ですが、「全国の農家の若者と交流を深める中、たくさんのことを学ばせてもらいました」と話されます。消費地に近い大都市圏の近郊農家は、外へ出ることもなく、あまり勉強をしていませんでしたと、反省されます。
◎たまねぎ、キャベツのプレミアム化
「収益を確保するには、まず自分たちで値段を決められる力を持つ必要があります」と、よそとは違うひと手間も、ふた手間もかけた作物を目指されます。良い肥料で高品質の野菜づくりに取り組んでいました。
その具体的な事例が、たまねぎとキャベツのプレミアム化でした。通常のたまねぎに比べほぼ倍の値段ですが、大変美味しいもので、メディアでも話題となりました。
◎G20大阪サミットの料理に
2019年のG20大阪サミットの首脳夕食会ではこちらで栽培されたプレミアムたまねぎが、晩餐会の料理に使用されました。今年はすでに20トンを完売されています。今後もこのプレミアムたまねぎの比率を高めたい計画だそうですだ。
また、泉州キャベツでは、地元で「松波キャベツ」「彩音キャベツ」をブランディング化、プレミアムキャベツとして人気を集めています。2月には収穫祭を開催され、著名な料理長、シェフ、お好み焼き店オーナー、ファン約300人が集まりました。
◎工業、農業でブランディング
7月には田んぼアートも開催されています。工業製品では、よそとは違う製造方法で、付加価値を高めたモノづくりが求められています。
同じことが今、農家でも求められています。作物のプレミアム化、ブランディングを図り、付加価値を高める動きです。
◎農業にモノづくりの技
モノづくりの技を今後農業に展開することで、日本の農業は一気に花が咲き、実を結ぶことになるでしょう。都市から地方へ、工業から農業へ、若者が増えるところは間違いなく発展します。
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