◎日本の産業構造が変化
第4次産業革命、新型コロナ革命で、日本の産業構造が大きく変わろうとしています。中小企業もその影響を大きく受け、変わらないと生き残っていけません。
日本はモノづくり大国と言われ、高性能な製品を安くつくれるというのが強みでした。でも、もっと安くつくれる国が登場して来ました。
◎昭和のモノづくり大国
まあ、当初は品質ではまだまだ日本にかないませんでした。不良品が多い、安物とたかをくくっていました。でも、いつの間にか日本を上回る高品質で安い製品があふれています。
昭和のモノづくり大国は、もはや世界の競争に勝てなくなりつつあります。日本のモノづくりを支えてきた中小企業の町工場も変わらなければ、生き残れない状況です。
◎デザイン性をアピール
先日、大阪で開かれていたモノづくり展示会で取材していたところ、ちょっとしたヒントをいただきました。あるプラスチック成形のブースで、デザイン会社と共同出展されていたのです。
これまで製造現場の展示会は、性能や精度ばかりを強調していましたが、こちらはちょっと違いました。精度、納期に加え、デザイン性を重視したアピールをされていました。
◎装置の内外装を手がける
デザイン会社と連携し、デザイン性の高い医療機器の外装などを手がけ、売り上げを伸ばしておられました。創業は昭和8年と古い歴史をお持ちです。
大阪府枚方市の本社工場では、装置の外装・内装などのカバーを高精度に製作する圧空成形。また、プラスチック素材を活かし柔らかい印象の仕上がりになる真空成形を得意とされていました。
◎過去最高の売り上げ
約10年前から医療機器向けの外装に注力、今では売り上げの8割近くを占めておられます。コロナ禍の中、受注は好調で令和3年度上半期は過去最高の売り上げを達成されました。
その好調な要因の1つが、デザイン会社と連携したデザイン性重視の戦略にあるました。
◎意匠、デザインに関心
「30年以上のお付き合いですが、最近ではユーザーサイドから性能だけでなく意匠性を求められるようになり、開発設計段階から一緒に取り組んでいます」と、おっしゃいます。
ユーザーが、性能や精度だけでなく、意匠性、デザインに関心を持ち始めています。オシャレな装置を操作して、楽しく仕事をしたいと。
◎開発ロスの削減に
また、工場見学時には無味乾燥な装置より、オシャレな装置が会社のイメージをアップしてくれます。デザイン見直しや設計工数増大などの開発ロスの削減に、デザインはつながると言われます。
最近では展示会などで共同出展だけでなく、共同のパンフを制作されます。モノづくりとデザイン会社がタッグを組むことで、新しい付加価値が生まれているのです。
◎モノづくりとデザインの融合
町工場とデザイン会社によるモノづくりの相乗効果が高まっています。モノづくりとデザイン会社のハイブリッド経営で、日本のモノづくりに活路を見出して欲しいと思いました。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞