吉井電機(TEL 078・412・2213)は、AI やロボット化の波に乗らず、逆転の発想で“手作業推し”のモノづくりを進める。アンチロボットを旗印に手作業の強みを発揮、コロナ禍以降黒字の元気企業だ。
1985年の創業。神戸市東灘区深江南町に本社工場を置き、鉄道関連のハンダ付け作業、配線の圧着作業など手作業を得意とする。7年前に社長に就任したのが、2代目の三浦泉さん。
「父の会社について何も知りませんでした。7年前に会社が“後3カ月で倒産”というひどい状況にあることを初めて知りました」と。父の働く姿を見て育ち、会社への愛着もあり、「やってみたい」と後継を決意。主婦から一転、社長に就任して会社の再建に乗り出した。
財務諸表を確認、赤字受注をやめる一方、駐車場などの経費を見直す。30人にいた従業員は、内職シフトなどにより3カ月後には5人まで削減。スリム化して経営体質を改善した。
現在は社員とパート社員合わせて16人。スタッフの得意分野に合う仕事を受注、モチベーションを高める。「生産性がアップし利益がでる体質になりました」と、2020年からV 字回復を果たす。
「ロボットが苦手な仕事がたくさんあります」と、展示会などで手作業をアピール。医療機器や理化学機器など新規ユーザーを獲得する。
※最近では生産農家とタイアップしたお米の販売、電線廃材を学校教材に活用する取り組みも始める。「多品種少量、短納期を強みにし、ロボットに負けない100年企業を目指したい」と話している。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞