「上を向いて歩こう」という復興ソングが流れている。上を向くのはこのご時勢簡単ではない。しらぬまに背を丸めて下を向いて歩いている。
「なでしこ」の快挙に背筋がのび思わず上を向いた。20才のキッカーが重圧をはねのけるように息をととのえ上をみる。ゴールを揺がした瞬間、日本人の魂に強烈な光をともした。
「一隅を照らすものこれ即ち国宝なり」という伝教大師のお言葉がある。宝とは、道を求める心、精進の心であり金銀財宝ではない。身近なところで一隅に清らかな光を放つ善行の人こそ国の宝と説かれている。「なでしこ」の乙女達こそ国宝とよべる。
頂点を目ざす競技者は上を向くことが習性とされる。
今回被災地の懸命に生きる人々の姿に向上心が誘発され、その選手達の躍動が被災者の心を上に向かせる。
惨過のなかねばり強い東北の方々の相互扶助は、人間のもつ善性と誇りの現れであろう。このけなげな姿もまた、一隅を照らす行為と世界の人々から賛辞をうける。政財界にあっては、企業の海外移転論が40%をしめ、首相の「鴻毛より軽い」脱原発論議にはうんざりだ。
国家の舵取り役が不毛である。
ようやく上を向きかけた日本人の心に水をさすのはやめてもらいたい。
地味な存在であっても「一隅を照す」精進をかさねて精一杯独自の輝きをもてるよう上を向いて歩いていこう。
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